社団法人 日本版画協会は、1931(昭和6)年に、石井鶴三、織田一磨、恩地孝四郎、前川千帆、川上澄生、永瀬義郎、藤森静雄、田辺 至ら日本創作版画協会の会員28名、岡田三郎助、大久保作次郎、中村研一ら洋風版画会の同人4名、および梅原龍三郎、長谷川 潔、河野通勢、清宮 彬ら無所属作家11名の、当時版画に携わる作家たちの大同団結、協力一致の組織として岡田三郎助を会長にして設立されました。
同年、第一回展を開催してより今日まで、1934(昭和9)年のパリにおける版画展準備の年と、1945(昭和20)年の終戦時の混乱期を除き、本年の第78回版画展まで休みなく活動を続けてきました。
日本版画協会設立の主旨はその前身である日本創作版画協会を引き継ぐものでしたが、その三本の柱のうち、第一の「帝展に版画を受理せしむる事」はいち早く実現して版画芸術の正当な価値観を世に問い、第二の「東京美術学校に版画科の新設」は、その後の多くの先輩諸氏のたゆまぬ努力によって、美術系の大学に版画科、版画コースが設けられるようになり活気あふれる現況を見るにいたりました。
そして第三の柱「国際展開催と日本版画の国際化」は、前述のフランス政府後援によるパリでの『日本現代版画とその起源展』を皮切りに、1936年から翌年にかけては、アメリカ各地からロンドン、リヨン、ワルシャワ、ベルリンに『日本現代版画展』を巡回し、戦後もそれらの活動に続いて、オーストラリア、メキシコ、サン・サルバドル、アメリカ、イスラエル、ユーゴスラヴィア、スイス、スウェーデン、台湾、その他各地で日本版画協会の海外展を開催してきました。また国内では、近いところで2006年にタイ、2008年にアメリカ現代版画の特陳をし、2007(平成19)年には『Prints Tokyo 2007』として国際公募を、あわせて国際版画シンポジウムを開催、版画の国際化に寄与してきました。
一方、国内では春の本展とは別に「巡回展」制度を設け、1970年代の一時期の中断を除き、戦前より各地で巡回展を催し今日にいたっています。これは版画の啓蒙、普及という協会当初からの活動方針に則ったものです。
現在、200余名の会員、190余名の準会員を擁す日本版画協会は、その前身である創作版画協会から数えると90余年の長きにわたって活動を継続してきたことになります。それはこの国の版画芸術の歩みそのものといえましょう。たえず先人の努力を継承、顕彰し、また研究、発展させるとともに数多くの新人作家を育成しながら、歴史をつくってきました。我が国では唯一の、職能団体的性格をもつ党派を超えた社団法人の版画家集団として、国内外の現代版画界へ大きな影響を与えつつ、幅広い芸術活動を繰り広げ続けこの世界に確かな足跡を印してきました。
この度は、京都市美術館をはじめ関係各位の御協力を得まして、はじめて京都で第79回本展を開催させていただくことになりました。後援を頂いた各位、関係者各位に心から感謝を申し上げます。